マンデル・シュトレン
このシュトレンは、私なりに手を加え、2009年の私の新作菓子発表会で作ったものです。ご主人が外交官でドイツに3年ほど滞在されている方が、ちょうど帰国して発表会に参加されました。そして試食のシュトレンを食べて大感激。こんなにおいしいシュトレンはドイツにもないと言って頂きました。一昨年、このことを謳い文句にお薦めの文章を書きました。とてもよく売れました。クリスマスから2日後、1通のメールが届きました。
「ドイツよりもおいしいとのことでしたので、とりあえず1本買って食べました。本当においしかった。私は以前ドイツのお菓子屋さんの家に2年ほどホームステイしました。そこで様々のお菓子やシュトレンもいっぱい食べさせてもらいましたが、イル・プルーのシュトレンはドイツのものよりずっとおいしい。機会があれば是非ドイツの職人さんに食べさせてあげたい」
もちろん私はじめとても嬉しいお便りでした。
そして最後に、「1本しか買わなかったのが本当に残念でした」との言葉がありました。
イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのシュトレンはあんまりおいしくて、一度食べたら又食べたくなってジッとシュトレン。
シュトレン
キリスト様が包まれたおくるみを表しているドイツの伝統菓子。世界で最高においしいと私が考えるスペイン、カタルーニャの内陸の地レリダのアーモンドを私自らが輸入したからこそ可能になったガトーバスクと共に、私の人生の誇りと呼べるお菓子です。暖かく滋味豊かな味わいが両の頬をふっくらと温めます。とにかく旨い。
ビルヴェッカ
ビルヴェッカはフランスのアルザス地方の言葉で洋梨を言います。乾燥した洋梨をメインに作るフルーツケーキです。
シュトレンだけではありません。ビルヴェッカだって同じですよ。私はフランス・アルザスのものよりもおいしいと自信があります。フランス・スペインなどから自分の舌で選び、集めた本当に旨いドライフルーツに、しょっちゅう国際コンクールで金賞・銀賞をとっているルゴルさんの神様が手を貸してくれて出来上がった、天にも昇るような香りのキルシュがあって、私のセンスがある。おいしくできない訳がありません。
ビルヴェッカはとても贅沢の極みのお菓子です。ごくごく少量のパン生地にアルザス特産のサクランボのフルーツブランディとアニスパウダーに漬け込んだ多量のドライフルーツを混ぜ込んだパン生地のフルーツケーキと言えるものです。
パン屋では注文のみでしか作らない、アルザスではとっておきのクリスマスケーキです。
形はシュトレンと同様に楕円形でキリストさまが包むおくるみを表しているとのことです。
キルシュとアニスのたゆたうエキゾチックな香りが様々のフルーツの心を開かせ、混然とした心に深くしみこむ味わい。正に聖夜の味わいのように思えます。