新版・基本編
初版『ごはんとおかずのルネサンス』は2003年発売。基本編はそれを改訂し2010年に発売
記憶に残る子供の頃の野菜や母が日々作ってくれた手料理の味わいを復元出来れば、日々の食事に豊かな栄養素を回復させることが出来ると考えました。そして私達の細胞と十分な栄養素を届けることが出来ればアレルギーや重篤な病気に喘ぐ日本人の健康を回復することが出来ると考えました。
しかし2年の試作でも記憶の中の味わいを再現することは出来ませんでした。
さらなる何度もの試行錯誤の結果、私が子どもの頃味噌汁に必ず入っていたいりこ(煮干し)をはじめとする、昔から伝わる昆布や切干大根などの乾物に辿りつきました。
味噌汁だけでなく、ご飯、煮物、オムレツなどほとんどのものにこれらを加えると、私達の細胞が待ち望んでいる豊かな味わいのある《甘さ》を復元させることが出来たのです。まさしく私の記憶の中の味わいとピッタリと重なり合ったのです。
長い試作の中でアク抜き・下茹でや砂糖を加えた甘い味わいは私の子どもの頃は誰もしておらず、いつの間にか積み上げられた間違った常識であることも証明しました。
日本の野菜などの農産物は私の子供の頃から比べれば1/8~1/10ほどに栄養素が致命的に減少しています。機械的に以前の和食に戻っても十分栄養素は補給出来ません。新しい考えが必要なのです。
出版(『ごはんとおかずのルネサンス』初版は2003年発売)より2年ほどして様々な病気が改善されたとの感想が届き始めました。
「ルネサンスごはん」の考え方
①いりこをダシの中心として、その他の乾物(昆布や鰹節など)で基本的な栄養素を厚くする。
②砂糖・みりんは決して使わない。
私が子供の頃は誰も料理に砂糖を加えることはありませんでした。
栄養素が豊かになれば私達の感覚が欲している自然な甘さが得られる。
③アク抜き・下茹では決してしない。
実はアクは私達の細胞が欲している大事な栄養素なのです。私が子供の頃は誰もこんな愚かなことはしていませんでした。
④味噌の重要さを再認識する。
味噌といりこの入った味噌汁は長い間日本人の健康を根底から支えてきた決しておろそかにしてはならない生命維持に不可欠の基本的栄養素を豊かに含んでいます。また味噌には、味噌そのものの豊かな栄養素と共に他の栄養素を吸収しやすくする調和力があります。
⑤化学精製塩をやめ、海塩に立ち返る。塩を怖がらない。
海塩や岩塩には人間の細胞が必要としている豊かなミネラルを含んでいて、豊かな栄養素がある時はむしろ多くの海塩が必要なのです。
⑥電子レンジは決して使わない。
電子レンジは食べ物の60~90%の栄養素を破壊するというデータもあります。また細胞を傷つける活性酸素を生成します。私はもう何年も前に電子レンジは捨てました。戸惑うのは一週間だけです。もうあんな恐ろしいものは使えません。
⑦冷凍はしない。
冷凍も著しく栄養素を破壊します。
ルネサンスごはんの素晴らしい点
・野菜などはスーパーのものを前提としているので、高価な有機野菜は必要なく、余計なお金がかかりません。
・野菜の皮もむかず、大きくぶつ切りなので、慣れれば料理を作る時間は1/3で済みます。
・とにかくうまい。作り手が食べたくなるおいしさなので、まかない作りのつらさが軽減されます。
・家族皆が元気になります。
さぁ皆さん「ルネサンスごはん」を始めましょう。
四季の息吹・今昔おかず編
2009年に『記憶の中の母の味』として出版。2011年に『四季の息吹・今昔おかず編』として改訂・改題
「基本編」のとりあえずの出版の後、さらに記憶の中から私の母が日頃よく作った料理を掘り起し、出来るだけ忠実に味わいを再現させたものに、いくつかのルネサンス流に組み立てた料理を合わせたものです。
「基本編」の方はまだ記憶の中の料理をやっと掘り出したばかりでしたが、それから6年ほど経って発売した『記憶の中の母の味』(現・『四季の息吹・今昔おかず編』)はさらに詳細に記憶の糸を手繰り寄せて私の母の日々のおかずを再現し、加えたものです。
私が小学生の中頃までは肉なんてありませんでした。基本編にある野菜炒め、餃子、肉じゃが、カレー、ハンバーグ、ロールキャベツ、鶏の唐揚げ、イカフライ、おでんなどはその後かなり経ってから家庭の食卓にのぼりはじめました。小松菜の煮物にも肉は入っていませんでした。
この本に新たに載っているなすの煮物、ヤリイカと大根の煮物、ぜんまいの煮物、さやえんどうの卵とじ、春の茶碗蒸し、鰯の天ぷら、小松菜としらすの卵とじ、たらこ煮、そして「基本編」に載っているいかと里芋の煮物、五目豆、なまり節、おから、ひじきの煮物、切干大根、これに簡単な金平ごぼう、菜っ葉のけんちん汁その他今から比べればとても種類の限られた日々の献立でしたが、まさに私の家だけでなく、日本のどこの家でも作られていた母の味わいでした。そして家庭料理には「美しさ」とか「きれいさ」などは未だ入り込んでいない頃の味わいでした。
見た目の美しさを強く意識した家庭料理は、「素材の持つ豊かな栄養素を少しも無駄にすることなく味わいを作り上げる」という、本来の目的を見失わせてしまうのです。家庭料理は、豊かな栄養素に支えられた、食べているうちから心と身体がホカホカと温まってくる味わいしか必要ありません。これらはもう日本の食卓から失われてしまった古来の日本の味わいの原型なのです。作り方もアク抜き・下茹でなどは決してせず、とてもシンプルなものでした。
四季を強く意識してよりおいしく、そしてより豊かな栄養素を含む旬の産物を使って正しい料理法によって作られた「本当の母の味わい」を教えてくれる一冊であると思います。
心嬉しい炊き込みご飯と味噌汁編
会津では「炊き込みご飯」を「混ぜご飯」と言っていました。
子供の頃、炊き込みご飯がたまに出るとなぜか心も華やぎ、嬉しく、大大好きでした。でもその種類は、切り昆布ご飯、しいたけご飯、むかごご飯、切干大根ご飯などせいぜい4〜5種類でした。具もこれらの他に油揚げや大豆が入るくらいでしたが、本当においしかった。次の朝、新しいごはんが炊きあがったところで釜の中に入れて温め直したものをもう一度食べれるのが楽しみで、いつもより早く起きたものです。
あの嬉しさと楽しさを一年中いろんな具を入れて楽しめたらどんなにか楽しいだろう。そしていろんなものを入れた炊き込みご飯と味噌汁で十分栄養素を充足出来れば、お母さん達もずっと助かるはずだ。そうだ、炊き込みご飯と味噌汁の本を作ろうと思い立ちました。
いりこを中心としてダシを組み立て、具となる野菜など種類も量も多く加えればそれだけ料理はおいしく、また栄養素も豊かになります。炊き込みご飯と味噌汁を一品ずつ作れば家族の栄養補給は十分になり、皆がより健康になります。
以来一年、一つで2~3回の試作をして出来上がったのがこの本です。
ご飯46種、豆いっぱいご飯、えっと驚くよもぎご飯、枝豆とうきびご飯、にんにくご飯、切干大根と長ネギご飯、いろんなものが出来ました。楽しい、楽しい。
味噌汁40種。フキノトウと菜の花の味噌汁、夏のゴーヤ豚汁、ニラの卵とじ、鮭の三平汁などいろんな味噌汁が出来ました。どれもとびきりのおいしさです。
具はおいしければ何でもいいんですよ。夏なんかズッキーニ、ピーマン、ゴーヤと洋野菜でも何でもおいしい味噌汁が出来ます。
ずっと日本人の米の消費量は減っています。様々な原因がありますが、日本の米が不味くなったことも大きな原因の一つと私は考えています。国産の米だけよりもタイ米を混ぜ込んだ方がずっとおいしいという事実は、私も日本人としてとても残念なことです。でもこんなにおいしい炊き込みご飯が広まれば、日本人はもっと米を食べるようになるはずです。食べ物は全て栄養素豊かでおいしくなければ、やがて愛想をつかされます。
この一冊があれば子供達も家族全部の顔に嬉しく楽しい笑顔が満ちてきます。
砂糖を使わない真実のおせち料理編
全てに近い日本人が、確固とした真実と何気なく信じ切っているおせち料理に関する常識の中に見える、日本人の愚かさと真実を見る目のなさに私は絶望的になります。
「正月三が日は主婦が台所にたたなくてよいように、日持ちするようにおせち料理は濃い味付けにする」誰もがこの言葉を信じて疑いません。
私の子供の頃は普段の料理にも砂糖は入らないし、普段と違う献立は出ますが正月の料理にも砂糖が入ることはありませんでした。私が子供の頃は今より寒かったし、野菜なども栄養素が濃かったので腐りにくかった。まして今はどこにも冷蔵庫があるし、砂糖を防腐剤として使う必要なんてありません。これは悪意を持って作られた料亭などにとって都合のよい常識なんです。
大料亭やデパートなどでは何万食も作るでしょう。それらは買って持ち帰られてからどういう状態におかれるか分かりません。一つでも腐ったらとんでもないことになります。決して腐らないところまで防腐剤としての砂糖の量を増やした結果なんです。要するに大量に作って一円でも多く儲けようという魂胆の下に作られた常識です。ほぼ全てが砂糖、甘さまみれです。ベロベロ、甘々の昆布巻き。きんとん。あれはおいしさですか? 煮しめも伊達巻も、素材の表情は足蹴にされ、甘さに埋もれています。一口で言えば人間性を喪失した、人間の食べる代物ではない料理ばかりなのです。砂糖の甘さから素材の息吹を解放してやれば、おせち料理も本当においしいんです。
人生観の変わってしまう本当の日本の味わい
海の幸の豊かに自然にたたえた蒲鉾、んー、たまらない。砂糖を一切使わない昆布巻き。昆布巻きと中に巻いた身欠きニシンがふっくらとふっくらと優しい昆布の味わいと重なり五感に迫ります。正に新年の暖かい喜びです。なます。干し杏、大根、こんがり焼いた鮭の皮、松の実の味わいが心に沁み込みます。黒豆ときんとんは昔からデザートのような存在です。ふっくらと心を潤します。このきんとんは、私の祖母が作ってくれたものです。かすかな記憶をつてに作り上げました。とにかくウマイ。アッタカイ。一度に幸せな新年の予感が押し寄せます。
あるテレビプロデューサーの方から、ルネサンスおせちの感想を頂きました。
「《ルネサンスおせち》はとにかく自然なおいしさに満ちている。すべてが目からうろこだった。正月の休みが終わっても体重は少しも増えていなかった」
この方はそれまで一人でかなりの種類の料理を2袋の砂糖と共に作っていました。そして正月が終わるといつも、4~5kg体重が増えていたそうです。
正月から不健康になるためにおせちは存在するのでしょうか?
はじめてのルネサンスごはん おいしいおっぱいと大人ごはんから取り分ける離乳食
今、この日本は全く間違った嘘だらけの離乳食があまりにも多く溢れています。
一番とんでもないのが電子レンジによる調理、解凍。冷凍の離乳食。タンパク質を摂らない離乳食。アク抜き・下茹での料理法、その他多くの料理法です。
私は断言しますが、これらの料理法は赤ちゃんを元気にするどころか致命的に赤ちゃんの細胞を傷つけ、アレルギーはじめ様々の疾病、不幸を赤ちゃんに与えるものばかりです。
これらの料理法には、赤ちゃんの発育のために細胞が必要としている基本的な栄養素を充当するという発想は全くありません
離乳食は、栄養素を考える必要がなく、食べ物とその固さにならせるために柔らかさだけを考えればよい
という考えを誰もが持っています。その結果として最も極端で危険な村上祥子氏の「離乳食は簡単が一番」という電子レンジ調理・解凍・冷凍による狂っているとしか言えない調理法が幅を利かせるようになります。「ルネサンスごはん」で何度も述べたように、冷凍・電子レンジは著しく食べ物の栄養素を60~90%破壊し、細胞を傷つける活性酸素さえ生成してしまうのです。まさしくこれらは「悪魔の離乳食」です。決して手を染めてはいけません。
健康なルネサンスごはんを食べ続けた赤ちゃんは電子レンジ、冷凍によって調理したものは食べないと言う知らせも多く頂きました。これらの作り方がどれだけ身体にとって良くないかは、赤ちゃんがいちばんよく知っているのです。
私達の考え方は、赤ちゃんの頃から栄養素豊かなものを与えて腸を刺激し、栄養素を有効に吸収できるように機能を発達させなければならないというものです。
しかし、日本の農産物その他の産物、料理からは著しく栄養素が欠落していて、これに対処できるのは「ルネサンスごはん」しかないというのが私達の考え方です。
70~80歳の方に聞いても、以前は離乳食なんて存在しませんでした。日々のごはんの中からおかず、ごはんをよく煮て柔らかくしたり、すりつぶしたりするくらいで、赤ちゃんのために特別に何か作るということはありませんでした。しかし日本の日々の家庭の食事が崩壊してしまい、赤ちゃんに食べさせるものがなくなり、とりあえず手間をかけないで赤ちゃんに手っ取り早く食事を与えるために離乳食が必要となったのです。
この本の中で活躍している八木さんは「ルネサンスごはん」の以前からの実践者で、八木さん自身の身体も十分に健康ですから、その赤ちゃんもお腹の中で力強く育ちました。産まれてからも母乳も栄養素豊かでおいしく豊富で、赤ちゃんも母乳で元気に育ちました。離乳食になってからもそう特別なことはせずに、大人のごはんから取り分ける離乳食をされていました。赤ちゃんは好き嫌いもなく何でもよく食べます。もちろん赤ちゃんは何一つアレルギーなく元気です。
ルネサンスごはんは出来るだけ早く始めた方がいいのですが、私が知りえる範囲では妊娠初期の頃から始めた方の赤ちゃんにアレルギーはないと記憶しています。
赤ちゃんが産まれてからでも決して遅くはありません。お母さんもしっかり「ルネサンスごはん」を食べて栄養素豊かなおいしいおっぱいを赤ちゃんにいっぱい飲ませてください。
離乳食からでも大丈夫です。栄養素たっぷりのルネサンスごはんで作った離乳食を与えてください。豊かな栄養素を待ちわびていた赤ちゃんの細胞は、きっと元気になるはずです。