果たして日本にどれだけチョコレートの味わいを知っているパティスィエやショコラティエがいるのでしょうか?イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのショコラは、五感に強く迫る、本来のショコラの味わいを作ります。
教室の生徒さんとフランスのオーベルニュ地方の町イッサンジョーの国立製菓学校で研修旅行に何度か行きました。
同じ週にMOFのショコラティエの技術講習会があり、食事のデザートとして何度かそこで作られたプティ・ショコラが出ました。もちろん、まずくはないのですが、味わいにメリハリがなく、少しも印象的な味わいではない。まぁこんなものかなと思います。
フランスは今、週35時間労働のため時間が足りません。味わいを深めるためでなく、手を抜いて時間をかけないで効率を上げるための技術がもてはやされているのです。そして、加熱した生クリーム、チョコレート、その他を混ぜ込んでクレーム・ガナッシュを作る時も、手っ取り早く出来るフードプロセッサーで作ってしまうため、様々の素材が混ざりすぎ、それぞれの素材の個性的な味わいが消えて、平坦になってしまいます。そして料理やお菓子と同様に見てくれや奇をてらった形だけの味わいが幅を利かせています。
特に最近、新しく名の売れてきたショコラトゥリーは、かつてフランスが大事にしていた味わい、野生味と繊細な味の組み合わせをもう忘れてしまい、味わいのはっきりしないボケた味のプティ・ショコラを作っているように思えます。
帰国後、ちょうどショコラの授業があり、自分のプティ・ショコラを食べてみると、やっぱり旨いんです。とにかく味わいに曖昧さがない。
作り手(私)の意図する味わいがしっかり表されています。しっかりと、鼻と舌に香り、味わいが焼きつけられるのです。一個の満足感がとても大きい。
でもこれは実は当たり前のことなんです。
イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのショコラの味わいは、三十数年前までスイスにあったコバ製菓学校で既に完成された味わいの体系をイメージに、印象的な味わいを作り出そうとする意志がしっかりとあります。そして何にでもフードプロセッサーを
使うことなどしない。私達の技術はどうやって短時間で終わらせるかのための技術ではなく、常により深いおいしさを作り出すためにだけ、技術があります。
オーソドックスなチョコレートの本質を捉えたレシピ、そしてペック社の個性的な力のあるチョコレート、秀逸なるオ・ドゥ・ヴィ、リキュール、世界で最も深い味わいを持つスペイン・カタルーニャ地方のアーモンド。そしておいしさのために全てを注ぎ込む私達の意志。イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのショコラはおいしくて当たり前なのです。
※代表的な商品の一例です。店頭にない場合もございますので、予めご了承くださいませ。