破滅の淵の裸の王様
日本の食の異常な現実を指摘した最初の本です。
いつの間にか私自身も時代が望ましくない方向に変わりゆく波に押しつぶされて、自分を育て健康を支えてくれたかつての健全な日本の食を忘れ去ってしまっていたことに深い失望と驚きを生々しく感じ始めていた頃のものです。
当たり前であり、とてもおいしいと思っていた日本の食は、実は少しもおいしいものではなく、かつての姿とは全く異なってしまっていたのです。
そしてこの国で食の素晴らしさを称える確固とした定説となっている様々のものも全くの偽りであることを次第に理解していきました。
日本人の味覚の繊細さ、霜降り牛肉、日本の質の高いりんご、北海道の野菜、粘り気豊かな日本の米、日本人の嗜好、超高級料亭のブヨブヨの煮豆、歯にくっつく柔らかいパン、水の如き日本酒やビール、柔らかさだけの味のない和菓子、砂糖たっぷりの甘々の料理、私が子供の頃、日々の家庭料理に砂糖が入るなんてことはありませんでした。食の異常な変質の例は数えればキリがありません。でも殆どの人はどうしてこれがいけないんだと思われるでしょう。でも私たちが日頃おいしいと思っている者のほとんどは以上に変質した嗜好なのです。
例えば洗練された味わいの極みとされるアサヒスーパードライ。これはビールではありません。ただの水に限りなく近いビールの面影をちらつかせる飲み物に過ぎないのです。ビールメーカーは時間をかけてビールから本来の旨さをそぎ取り、水に近づけてきました。そして味わいが希薄になるにつれ、かつては日本にもあったビールの12~13℃がビールにとっての飲み頃の温度という常識を消し去りました。アサヒスーパードライはもうそんな高い温度では飲めません。とにかくまずい。味の素が溶け込んだような薄気味悪い味です。5℃あるいはそれ以下に冷やさないと飲めないようにしました。5℃以下の冷たさはこれはもう人間の口にとって苦痛の感覚です。慌ててビールの幻影をもとめてキンキンの冷たい液体を流し込みます。これを繰り返します。
旨いから何杯でも飲めるのではありません。何杯飲んでも五感は満たされないのでつい次を流し込んでしまうのです。
フランスで飲むベルギービールは本当に旨い。様々の香り、味わいがたゆたい、多重性に満ちた味わいが五感に満ちる。正に至福の時。幸せを感じる。でもこんなに旨いビールはどんなに喉が渇いたとしても2杯が限度。からだの全ての感覚が満たされそれ以上にのもうという感覚は湧いてこない。ほどよい量、豊かな味わい。身も心も自然な静かなる満足感に包まれている。味のしないビール、日本酒はメーカーがもっと多く売りたい、ただそれだけの動機で作り上げた偽りの味わいであり、トリックなのです。アサヒスーパードライの発売を境にして、もっと売れるために味わいを抜いてしまおうという流れは一気に加速し、和菓子も和食も味噌もほぼ全てのものが今はもう完全に本来の姿を変えてしまいました。こんな見方は私の他の誰が持ち得るでしょうか。その他多くの事例が記されています。私には食の領域での全ての嘘偽りがはっきりと見えてしまうのです。
戦後の農薬と化学肥料による次第に荒廃していく農産物、その他の産物そして全てにおいて経済効率とより多くのお金を得られることだけが至上の命題とされてきた歩みの中で、全ての日本人が気づかぬ中で、本来の食が目的と姿を失い、精神的肉体的病気を引き起こしていることを強く感じ始めたころの著書です。
今のおいしさはほとんどすべてが偽りのものであり、それを食べる人を幸せにはせず、むしろ不健康と不幸せを与えていることを、そしてそれは決して改善されることなくさらに悪化の一途をたどることをこの本は確固と予言しています。未だ深みのない未成熟な視点ではありましたが、日本の食の真実の姿を熱く述べています。
失われし食と日本人の尊厳
『破滅の淵の裸の王様』は未だただ現状を非難するだけのものでした。その後に書かれた本書は「ルネサンスごはん」という唯一の対処法を提示しています。
日本の食からの著しい栄養素の脱落による変質はさらなる確信となって、その理由、過程が詳細に述べられています。主な原因には次のようなものがあります。
・戦後急速に進んだ多量の農薬と化学肥料による化学農業
・水耕栽培など自然の摂理に反した栽培方法の拡大
・大量流通、大量販売のための冷凍による栄養素の破壊
・テレビを通じてのアク抜き・下茹での栄養素をわざわざ捨て去る料理法の家庭への浸透
・電子レンジ、冷凍庫の普及による家庭での栄養素の破壊
これらを生み出したものはお金がすべてに勝る至上の価値であるという考えです。これの浸透により日本人は古くからの様々のものを価値のないものとして捨て去り続けてきたことが今の状況を作り出したのです。
このような日本の状況の下で私はフランス菓子のパティスィエとして、フランス、日本を行き来する中で、日本の食を外側から客観的に見る位置にありました。またフランスの未だ健全な本当においしい野菜や肉などの素材と料理を食べることによって記憶に培われたかつての日本と母のおいしさを思い出し、また自分なりのフランス的なおいしさを追究する中で埋もれた比類のない味わいの感覚が、この日本の食の偽りのおいしさを打ち砕き、真実を明らかにしていきます。暴き出すものはより広く、深くなりました。
私達が世界で一番安全でおいしいと信じている日本の食材が、私の子どもの頃から比べれば致命的に栄養素が欠落し、正に誤った価値観、料理法によって日本人の身体からも栄養素が欠落し、様々な心と身体の病気をもたらしたのです。食は食べる人の心と身体に健康と喜びをもたらし、人と人を結びつけるためにあります。しかしこの日本では食は形式、記号になり、食べる人を傷つけ、人と人とを引き離しているのです。
人類は、農薬、環境ホルモン、遺伝子組み換え作物というように、資本の増殖、経済的効率のために大きな遺恨を残してきました。次に人類を襲うのは、日々口にするものからの栄養素の著しい欠落なのです。
今、日本に進行していることは、これから世界でも進行していくまさに全人類的な食の劣化なのです。
今、この日本には自ら、あるいは最愛の家族の中に様々な身体的、精神的疾病に陥っている人が多くおられると思います。その状態の改善、快癒のためにはまず、日本の食の真実の姿を直視しなければなりません。
ルネサンスごはんは放射能にもたやすく負けない
2011年3月11日の東日本大震災による福島第一原発の放射能拡散は、特に世のお母さん達の子供への健康に不安を与えました。これから先、程度の差こそあれ、日本中に拡散した放射能が子供や家族の健康をおびやかし、発癌、体力低下、その他重篤な疾病に侵されていくのではないかと怯えました。そして誰もがこの放射能の危険に対処する有効な手立てはないかと思いました。放射能による障害は身体を形作る細胞のDNAや染色体が放射線によって損傷することによって同じ細胞を再生・転写する能力が失われ、機能の異なる細胞が作られて癌その他の疾病を作り出します。
しかし人間の細胞にはもともと細胞が本来の機能をもっていれば損傷したDNAを持つ細胞が機能の低下した細胞を排除する力があります。細胞は狭い範囲のタンパク質、ミネラル、ビタミンでは本来の機能を持つことは出来ません。健全な食べ物に含まれる幅の広い量的にも十分な栄養素があって初めて本来の機能を発揮するのです。
何度も述べましたが、ほとんどの日本人が日々摂取する食べ物の中に著しく欠落した栄養素しか含まれておらず、細胞も本来の機能を持ちえていないのです。
もう一度確認したいことは日頃からちゃんとした食事を子供や家族たちに与え、細胞の働きを活発にしておき、細胞本来の機能を取り戻しておけば、放射能の障害は最小限に抑えることが出来るはずだということです。反対にアトピー性皮膚炎やその他のアレルギー疾病を持っている子は、細胞本来の機能が失われている状態にあり、放射能に対してもより強く障害を受けやすいのは明らかです。放射能障害には外部被ばくと内部被ばくがあり、内部被ばくは子供達の成長に沿ってずっと長く細胞に影響を与えます。今からでもルネサンスごはんを始めれば、幅の広い十分な栄養素を補給すれば細胞は本来の働きを取り戻し、健康維持に必ず大きな効果があるはずです。この日本には「ルネサンスごはん」に勝る豊かな栄養素補給の方法はないと私は断言出来ます。
本の後半では「ごはんとおかずのルネサンス」発刊以来、これを実践された方々からの多くのアレルギーや様々の疾病の改善の知らせをまとめたものです。
花粉症、アトピー性皮膚炎などアレルギーは言うまでもなく、難病の潰瘍性大腸炎、薬ではどうしても下がらなかった血糖値改善の多くの知らせを頂いていました。これらの感想や知らせは私の想像をはるかに超えたものであり、いかに日本の食から栄養素が欠落し、これが様々の疾病を引き起こしているかを十分すぎるほどに証明するものでした。同時に「ルネサンスごはん」による基本的で豊かな栄養素の補給がどれだけ細胞本来の力を回復させるかを証明するものでした。
ルネサンスごはんの効果を正しく知ってもらうためには最適の書です
「ルネサンスごはん」を始めようか迷っている人はぜひ読んでみて下さい。
「ルネサンスごはん」はお金がかかりません。普通のスーパーの野菜や肉でOKなのです。有機栽培野菜などを買う必要はありません。そして確実に効果が得られます。
体がよみがえる家庭料理 ルネサンスごはん
吉本ばななさん絶賛!
昔の日本にあった「真実のおいしさ」を再生させましょう。
○いりこは最強の健康食品です。
○フランスの調理法が再現する日本の母の味
日本一のパティシエだから作りだせたレシピ!!
冷凍食品、インスタント、加工食品…現在、日本人が食べている食事の多くは栄養素が著しく損なわれ ている。食材も同様。長い間農薬によって蝕まれた土地で作る野菜は痩せ細り、栄養素が抜け落ち、真のうまみを失った。日本を代表するパティシエである著者は「本当に美味しいものとは何か」と問題提起、「真実の味」を作る料理法を提案。世界の素材、料理法から、今の日本人にもっとも必要な食事を明らかにする。 現代社会で劣化してしまった日本の家庭料理に革命を起こす一冊。