第6回:西坂直樹さん(「スタジオナップス」代表、カメラマン/福島県郡山市)
【その2】毎日撮影で「ルネサンスごはん」を食べた時は、お通じがいい。
その時、この料理はきっと正しいんだなって、自分の体調で確信しました。
──ちなみに西坂さんは「ルネサンスごはん」の中では、何が一番好きですか?
西坂直樹さん(以下:西坂) その前に一つ、いいですか。これだけは先に言っておきたい。ルネサンスの撮影を毎晩徹夜に近い状態で撮影をしている間は、僕も、うちのアシスタントも、「ルネサンスごはん」しか食べない訳です。まず撮影後に皆で食べますよね。あとタッパーに入れて残りを持って帰るので、翌朝と昼も「ルネサンスごはん」を食べます。これが数日続いたら、本当にお通じがよくなるんですよ(お食事中の人はすみません!)。 僕は特に便秘ではないけれど、アシスタントの子なんかは便秘がちな子も多くて。皆、驚きでしたよ。
この撮影中、これしか食べず、体調がよくなっているんだから、「ああ、これはきっと正しいんだな」と、体調で確信しましたね。
──なるほど。撮影で実際に食べてみて体調もいいなら、家でもやってみようかな、と言う感じですか。ただ家族がいると、皆がいいねって言ってくれないと食卓に並べられないという難しさもあるかと思うのですが。
西坂 確かにメニューによっては、日頃自分が食べ慣れているものとあまりに違うと食べてもらうのは難しいですよね。僕は幸い全部食していたので、これなら皆食べられるかなというものから家族に勧めていきました。
──本のレシピでよく作るのはなんですか?
西坂 やはり炊き込みご飯が多いですね。混ぜご飯系は絶対失敗しないと思います。我が家でよく作るのは具も入れて炊いてしまうタイプです。あとは具だくさんの味噌汁。この辺は「炊き込みご飯と味噌汁編」を参考にすることが多いですね。あと最近、我が家ではサツマイモブームで、いろいろご飯やみそ汁、炒め物に多用しています。
(本をめくりながら)懐かしいなぁ。
──割と日頃からルネサンスごはんのアレンジを楽しんでいらっしゃるようですね。
西坂 そうですね。カミサンと二人なので、本の通りに作ろうとすると、どうしても量が多くなりますし、食材の無駄が出てしまうので…。読者としては、どっちが多いんでしょうか。きちんとルネサンスで作る人と、一部取り入れている人と。
──うーん。数えたことはないですが、「本の考え方を応用して取り入れています」とか「ナチュールのご飯と味噌汁だけは作って、おかずは別のレシピで」という方も多いようには思います。もちろんオールルネサンスで作れたら理想的なのでしょうが。
西坂 確かに全部ルネサンス、というのは難しいですよね。たまには白米で納豆食べたいと思うこともあるでしょうし(笑)。
僕はあまり深く考えすぎない方がいいと思うんですよね。週に2回ぐらい身体がちょっと弱ってきたなと思ったらこれに切り替える、とか。風邪ひきそうだなって思ったら3日間食べ続けるとか。100%毎日ルネサンスごはんに出来たら、確かにいいけれど、そういう取り入れ方から始めてもいいと思いますよ。
──100%これで成り立つなら理想だけれど、読者の方が、ちょっとしか出来ていないというのを、追い目のように感じないでほしいなと思っているんです。
西坂 あと、意外と一般の人が「ルネサンスごはん」の神髄を体感しやすいのはおせち料理かもしれないなと最近思うようになりました。「砂糖・みりんを使わない」味ということの意味が分かりやすいし他の料理と比較しやすいんですよね。
我が家も今年は、ルネサンス流おせちをたくさん作りましたよ。七草粥、お雑煮、こづゆ、南蛮漬け、厚焼き卵、〆鯖、ひたし豆、なます、鰯の蒲鉾…。ひたし豆はうちの実家の母ちゃんが凄く感激していましたし、鰯の蒲鉾は、弓田さんのいりこクッキーの原点はこの辺にあるんじゃないか、なんて勝手に想像するくらいめちゃくちゃ旨かったですね。
材料も無駄にならないし(笑)。ルネサンスのおせち料理を食べると、普通に食べる食事は塩味、デザートで砂糖ということが分かれていて凄く明快だと思います。
──では、全部食べた西坂さんがお気に入りの「ルネサンスごはん」は何ですか?
西坂 僕のベストはしらすかちりご飯(→「炊き込みご飯と味噌汁編」P58)か、鰯の蒲鉾(→「おせち料理編」P30)ですね。弓田さんの考え方がレシピに凝縮されているように思います。
本で言えば、「今昔おかず編」は和え物が多いので割と簡単に作れるものも多いと思いますね。でもやっぱりベストはしらすかちりご飯かなぁ(笑)。「炊き込みご飯と味噌汁編」の中のメニューは絶対失敗しないですよねぇ。
【その1】実は「ごはんとおかずのルネサンス」初版(2003年刊)は、デジタル撮影のハシリでもあるんです。
【その3】西坂流の究極の手抜きワザは「ストック出汁+いりこ」。あとは、「下ごしらえ」と調理法が頭に入っていれば、材料が多少揃わなくてもおいしく作れるのが「ルネサンスごはん」の魅力。
【その4】僕はね、「ルネサンスごはん」は「生き方」だと思うんです。まるで弓田さんはこの日のために、「ルネサンスごはん」を作ったのかな。そんな風にさえ、僕には思えるんです。