第13回:八木若葉さん
八木若葉さん プロフィール
ご職業:主婦 (元イル・プルー教室スタッフ)
ルネサンスごはん歴:7年目
2014年春刊行予定の「ごはんとおかずのルネサンス 離乳食編(仮)」でも大人ごはんからの取り分け離乳食の撮影協力。今後はルネサンスごはんを広める活動をしていく予定。
ごはんに限らず、今まで周りに溢れている情報を鵜呑みにせず、
自分なりの直感を大切にすることをルネサンスごはんから教わりました。
──まずはルネサンスごはんを始めたキッカケを教えてもらえますか?
長澤さん(以下、長澤) イル・プルーにスタッフとして入社する前に書店で「記憶の中の母の味」(現「ごはんとおかずのルネサンス 四季の息吹・今昔おかず編」)を購入したのがキッカケです。
──ルネサンス流のつくり方を知ったときの感想を教えてください。
長澤 (料理の)専門学校での授業や、今まで参考にしてきた調理本で、「アク抜き下茹で」と「砂糖とみりんジャバジャバ」が当たり前だっただけに、ルネサンス流を初めて知ったときは、信じられませんでした。家でのおかずも、もちろん「アク抜き下茹で」「砂糖たっぷり」だったので、ボスの話をすぐに受け入れることはできませんでした。
──初めてルネサンスごはんを食べたのはいつですか?
長澤 ご飯とお味噌汁でした。
──それは教室で、ですか?
長澤 そうですね。スタッフとして入社して1日目の朝ごはんでいただきました(イル・プルーではボスの指導により、社員は朝ごはんにルネサンスごはんと味噌汁を食べさせてもらえるんです)。
真っ白いご飯にいりこがゴロンと入っていたのでビックリ!!! お味噌汁にも昆布やいりこや鰹がごろごろでさらにビックリ。出身が関西なので、かつおと昆布でつくった澄んだ色のダシ汁ばかり見てきたので最初は戸惑いました。
でも口に入れると色んな香りや味がして、体が素直に「おいしい!」と感じました。おもわず、ご飯もお味噌汁もたっぷりおかわりしました(笑)。
──なるほど。食べてみたことがキッカケでつくるようになったんでしょうか?
長澤 そうですね。最初は理解できなかったボスの話も実際自分が食べておいしいと感じたことですんなりと受け入れることができました。体にいいとか、そんな理屈抜きにとにかく「おいしい!」と心から思ったので。家族にもおいしい感動を伝えたくて、とにかく、ボスの言うことに耳を傾けようと思いましたね。
それから家のごはんもすっかりルネサンス風に。
レシピ通りきっちりつくらなくても、乾物やいろんな食材をたっぷりつかって調理するようになりました。ごはんも白米だけでは物足りないので、実家から玄米を送ってもらったり、タイ米を混ぜたり。昆布やナッツ、オリーブオイルも欠かせないです。
──では日ごろつくるルネサンス流のメニューや、家族が好きなメニューがあれば教えてもらえますか?
長澤 毎日の事なので、タイ米と玄米入りの基本のご飯と、具だくさんのお味噌汁を一番よくつくります。家族(夫)もそれが一番好きなようです。ポテトサラダやトマトのサラダ、茄子もみサラダや白菜のサラダなど、サラダも季節に合わせて色々よくつくります。
その他に常備菜として、筑前煮やひじきの煮物やカボチャの煮物、夏は野菜をグリルしたものなどのおかずをつくりおきして冷蔵庫に入れておきます。
お腹がすくと、食べる分だけお皿に入れて、お鍋で軽く蒸して温めてから食べます。
つくりおきしておけば家族も好きな時に野菜が取れるし、忙しいときや急に友達が我が家にご飯を食べに来てもすぐに一品だせるので重宝します。
──ルネサンスごはんに切り替えてからの体調の変化などがあれば教えてください。
長澤 もともとトラブル知らずの健康な体だったので、特に目立った体調の変化はありませんでしたが、ルネサンスご飯はたくさん食べても太らないような気がします。昔は少し食べ過ぎるとすぐに体がプヨプヨしていましたが、ルネサンスご飯はお腹いっぱい食べてもきちんとエネルギーに変わってくれる気がします。
──ではルネサンスごはんにしてから、意識の上での変化はありましたか?
長澤 そうですね。一番の変化は世間でよしとされている情報や品物をしっかりと自分の目で確かめて選択するようになりました。専門学校での教育や今まで参考にしてきた調理本では、どれもアク抜きや下茹で、砂糖を加えることが当たり前で、ムダに手間をかけることが料理をおいしくさせること。それを盲目的に信じて一生懸命調理してきましたから。
でもルネサンスごはんを食べてそのおいしさに驚きました。それは教室スタッフとしてドゥニさん(フランス修業時代に弓田亨がであった盟友であり、毎年夏に講習会で来日する)の料理を食べた時にも感じた、まさに「こころとからだが喜ぶ料理」でした。
また有機野菜だから、高級スーパーで売っているからその食材がおいしいわけではないことも分かりました。ドゥニさんの講習会のための食材を探す中で、多くの食材を食べ比べ、規格外だったり露地物の方がしっかりした味がある場合も多くありました。
ごはんに限らず、これまでは周りに溢れている情報を鵜呑みにしていたり、何となくの雰囲気で流されていたことがあったなぁと思うようになりましたね。今、世の中で常識とされていることにも疑問の目や自分なりの考えを持つことの大切さをルネサンスごはんから教わったように思います。
──ご家族はどうですか? やはりルネサンスごはんにしてから食に対する意識が変わったりしましたか?
長澤 家族も料理の味や香り食感に敏感になりました。普通のご飯を炊いているときは何も言いませんが、ルネサンスの基本のご飯を炊いていると、「ルネサンスご飯炊いてるねー。スゴクいいにおいがする!早くご飯食べたい。」というようになりました。
外食をしていると、砂糖や添加物が入った味に敏感になり、外食ができなくなりましたね。家で食べるルネサンスごはんが一番おいしいねと言ってくれるようになりました。
食材や料理をつくる人に感謝の気持ちを抱いたり、「食べること」自体の大切さや楽しさも知ることができたと言っています。毎週、近くの地主さんの農場へ行き、季節の野菜を一緒に買いに行く楽しみも増えましたね。
妊娠期間も離乳食ももちろんルネサンス!
赤ちゃんも元気にすくすく。
──そして2012年5月にお子さんを出産されました。
長澤 妊娠時にルネサンスご飯を特にたくさん食べていましたが、太りすぎることなく、毎回の健診で栄養状態がすごくよいとお医者様に誉められました。
その他に、髪が抜ける、吹き出物が出る、体がむくむ、貧血になる…といった妊娠期特有のマイナートラブルはほとんどなく、いつも元気で妊婦に見えないね、とよく言われました。赤ちゃんもお腹の中で元気いっぱい育ち、お産もすごく安産でした。産後の回復もかなり早かったので、助産師さんに誉められましたし、母乳もたくさん出ましたよ。
おまけに母子ともに風邪を引いたことがなくて…。これは男の子の赤ちゃんでは珍しいようです。
──ちょうど、春に出版するルネサンスごはんの離乳食編を実践されていた感じですよね。赤ちゃんが授かる前からルネサンスごはんを食べ、妊娠中もルネサンスごはん、そして赤ちゃんが生まれてからは栄養ある母乳、そして取り分け離乳食と。ちなみに長澤さんはいつから離乳食をスタートさせましたか?
長澤 うちの場合は、母乳がたくさんでたということと、保育園に入れる予定がなかったので、離乳食のスタートは遅めの7ヵ月から本格的に始めました。6ヵ月の頃は、1日に2口くらいあげて慣れるくらい。7~8ヵ月には、大人用のごはんを炊くときに合わせて、赤ちゃんのおかゆ用の米と水をココットに入れて炊飯器にセットして1日2回あげていました。野菜は味噌汁の具をつぶしてあげていましたが、最初は1品ずつでした。
アレルギーを見つけるため、普通は1品1スプーン1週間が基本的な考えみたいですが、私は母乳を通してとくにアレルギーが出ていないようだったので1品を1日食べさせて終わらせていました。
9ヵ月頃に全然おかゆを食べない時期があったんですが、大人のごはんをそのままあげるようになったらパクパクと食べました(笑)。うちの子は子ども用に用意したものよりも、大人と同じものを食べたがりますね。「そっちの食べさせろよ」と言っているかのように(笑)。
赤ちゃんって、ちゃんと自分の体に良くないものは、食べないように思います。
大人が食べていておいしいものはビックリするぐらいパクパク食べます。自立心を満たしてあげたいので小さいチキンカツや魚のフライ、ハンバーグをつくってもりつけてあげると得意げに食べますね。
ひじきの煮物をごはんにまぶしてあげたりする時にフニャフニャに柔らかくなったこま切れのいりこやごはんに混じったアーモンドも気にせずムシャムシャ食べていました。
──自分で離乳食をお子さんに与えてみて、思ったことはありますか?
長澤 野菜を茹でて小分けして冷凍して…と、頑張って離乳食をつくっているお母さんがいっぱいいると思うのですが、そんなことをしなくても、家族のために毎日おいしいごはんをつくり、出来立てのおかずを細かく刻んだり、味が濃い場合は少しお湯で表面の香辛料をおとしたりして食べやすくすればいいんじゃないかなって思っていました。
我が家では、夫も私も、毎日出来立てのごはんをいっぱい食べています。
息子もスパイシーなものでもおいしそうに食べますよ。たくさんのスパイが入ったカレーの中のニンジンなど、いろんな野菜を取り出して少し洗って与えたり、ナツメグやクローブの入ったハンバーグをごはんにまぶしたり。ボスがよく「ごはんは人と人を結ぶためのもの」と言っていますが、きちんと家族まで食卓を囲み、同じものをたべることで、小さい赤ちゃんも家族との絆を感じてくれるように思います。
──ルネサンスごはんをつくった弓田亨に一言お願いします。
長澤 ボスには言葉で表せないくらい尊敬や感謝の気持ちでいっぱいです。ボスはとにかくとても愛情いっぱい、思いやりいっぱい、やさしさいっぱい…それが料理やお菓子になり、ルネサンスごはんという形になり、私たちの食生活や豊かな生活を守ってくださったんだなぁ、と思っています。
昔ボスの新作のお菓子の試作担当をしていたことがあります。あまりにしつこく細かい微調整をして何度も何度も試作を繰り返すので、いい加減嫌気がさして逃げ出そうかと思いました。しかし執念ともいえるその姿勢から生み出されるお菓子は、最後に本当に心がほっこりするような温かいお菓子になりました。その瞬間を目の当たりにし、私はあらためて食べ物の大切さ、力強さを感じました。おいしさだけではなく、食べる人の楽しさや喜びもいっぱいいっぱい詰まったお菓子や料理をつくりだすボス。技術以上に、人間としての温かさや優しさを教えてもらったような気がします。
私も自分の大切な家族や友人に、人生がより豊かに健康になるよう心温まる楽しい料理をつくりたいと思います。
──ありがとうございます。これからもルネサンスごはん普及活動のご協力よろしくお願いします!