私のルネサンスごはん ごはんとおかずのルネサンス

第1回:服部みれいさん(『murmur magazine』編集長、文筆家/東京都)

【その2】私にとって、弓田さんは愛情ある昭和の頑固爺。
表面のことばではなく、弓田さんの愛を受け取ってほしいです。

──その後、『マーマー』12号で取材をして頂きました。「食」について語ってもらうなら弓田亨、と思って下さったキッカケを、改めて伺いたいです。

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※『マーマー』12号
元祖エコ男子☆七賢人に訊いてきた!
ひとも自然もしあわせになる 今を生きるための知恵 に登場。

服部みれいさん(以下:服部) 食べ物ってその人を作っていくと思うんです。マクロビ、ローフードなどいろいろな“食べ方”のメソッドがありますが、弓田さんのおせち料理を食べた時に、そういう「スペック」としての食じゃない、もっと違うレベルのことを弓田さんはやろうとしているんだなと思ったんです。

 エコだ、オーガニックだ、ロハスだって言っても、元気のない有機野菜っていうのもあるわけで。そういったことにきちんと触れている点でも弓田さんを面白いと思いました。

──実際に取材をしてみて、どんな印象を受けましたか?

服部 弓田さんはこんな世の中になる前からとっくにいろんな世の中の矛盾を分かっていて、ようやく私達が気づき出したんだなって思いましたね。衝撃だったのは漁師の町に行ってもスーパーに行くとロシア産の魚が売られているとか(笑)。「グローバリゼーション」は本当に世の中をよくしたのか? と、弓田さんと話をしていると思いますね。

 弓田さんの話って、皆が今知っている情報とあまりにも違うので、戸惑ったり反発する人もいるかもしれないですけどね。私が弓田さんのことを好きだなって思うのは、根底に「愛」が感じられるからなんです。凄い毒舌だし、ビックリするようなことを言うけれど、昭和の愛情ある頑固爺みたいな気がするんですよ。爺って言ったら怒られるかな?(笑)

 弓田さんの言動に反発する人もいるかもしれませんが……、「毒舌」な人ってやさしい人が多いですよ。きれいごとばっかりいっている人の方が、わたしは「どうかな」って注意深く見ちゃう。弓田さんはただ何か批判したり、アンチテーゼを掲げているだけの人じゃない。「毒舌家」という表面だけを見ず、弓田さんの心根の愛情を受け取って、弓田さんが考えてくれた料理法を、家庭に取り入れてほしいなって思います。だって現に、ルネサンスごはんを実践している方たちは、体調がよくなったりしているわけだから。

──その辺については、やはり服部さん自身、食べ物で病気を治された経験があるということも影響しているのでしょうか?

服部 そうですね。だから皆には、本当は、体調を崩す前に気づいてほしいんですよね。私の場合、外科的な手術でよくなっても、それは一時だけで、長期的にはよくならなかったのね。それは多分、私の意識というか、心を変えていないから、身体が根本からよくならなかったんだと思う。やはり心と身体は深く関係していると思います。それで私も食で身体を治したので、弓田さんの言葉にも合点がいったんだと思いますね。

──何かを変えることがキッカケで、それまでの暮らし方を見つめ直したり、他にもいろいろやり始めたり。いろんな相乗効果でよくなることってありますしね。

服部 そうですね。私は暮らしを見つめ直す入口は何でもいいと思っているんです。登山ルートに例えたら、頂上までいろんな道があっていいんじゃないかって。

 例えば私の友人で、手作り石鹸を作ったことがきっかけで、いろんなことに目覚めて、シャンプーや食事なども全部添加物入りのものをやめちゃった、変わっちゃったという人がいます。

 なかには、今回の原発事故で気づいた人もいるでしょうし、子どもを産んで気づいた人もいると思います。そのなかで、食事を変えるということは、「暮らしを見つめ直す」という意味で、最短の登山ルートだと思います。


その3へ・・・

【その1】最初に弓田さんのおせち料理を食べた時、子どもの頃に食べた、祖母の料理を思い出しました。
【その3】実家の父が、「おいしい」って食べてくれたことに感動。ひじきご飯が、私のルネサンスごはんのスタートです。
【その4】弓田さんの「おいしさ」の基準が知りたいな、と思う時があります。素材を食べ比べるような、「弓田さんの舌をかいまみる会」があったらいいですね。





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