私のルネサンスごはん ごはんとおかずのルネサンス

第1回:服部みれいさん(『murmur magazine』編集長、文筆家/東京都)

服部みれいさん プロフィール
murmur magazine編集長。
育児雑誌の編集者を経て、ファッション誌のライティング、書籍などの編集・執筆を行う。2008年に『murmur magazine』を創刊。
冷えとりグッズを扱う「mm socks」、新しい意識についての本や雑誌のレーベル「mm books」主宰。

手がけた本は、『白湯 毒出し健康法』、『麦茶 毒出し健康法』(ともに蓮村誠=著 PHP文庫)、『究極のデトックスレシピ』(蓮村誠=著 PHP研究所)、『冷えとりガールのスタイルブック』(主婦と生活社=刊)ほか多数。

自著に、『なにかいいこと 自分をほどく知恵のことば』(イースト・プレス=刊)、『ストロベリー・ジュース・フォーエバー』(マーブルトロン/中央公論新社= 刊)、『SELF CLEANING BOOK あたらしい自分になる本』(アスペクト=刊)、『オージャスのひみつ』(蓮村誠=監修 マーブルトロン/中央公論新社=刊)、『SELF CLEANING DIARY 2012あたらしい自分になる手帖』(アスペクト=刊)、『みれいの部屋 ニューお悩み相談』(主婦と生活社=刊)、『服部みれい詩集 甘い、甘い、甘くて甘い』(エムエム・ブックス=刊)

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【その1】最初に弓田さんのおせち料理を食べた時、
子どもの頃に食べた、祖母の料理を思い出しました。

──まず、ルネサンスごはんとの出会いから、伺いたいと思います。おせちの試食会に来て頂いたのが初めてでしたよね。

※服部さんが参加された2010年11月開催のプレス向けおせち試食会でのメニュー
雑煮、なます、鰯の蒲鉾、昆布巻き、煮〆、黒豆、胡桃と栗のきんとん
(黒豆ときんとんだけはデザートという位置づけで砂糖を使用しているが、それ以外は砂糖不使用)

服部みれいさん(以下:服部) その前にTABETABI MARKETのご飯のトークショー(2010年9月26日@BOOK246)を聞いてくれたのがキッカケでしたよね。よくあのトークショーでお声をかけて下さったなと思いますけれど(笑)。

──いえいえ。でも、雑誌で読んでいる服部さんの文章だけでなく、実際の服部さんのお話を聞いてみて、「自分でいいと思ったものを薦める」というスタンスの服部さんなら、ルネサンスごはんを食べたら気に入ってもらえるんじゃないか、と思いまして、おせちの試食会にお誘いしてみました。

服部 直感ですね!そもそも『murmur magazine』(マーマーマガジン。以下、マーマー)自体、今までの雑誌とは違うつくり方をしようと思って始めました。広告が入る雑誌は、例えばですが必ずしも自分が「カワイイ」と思っていなくても「カワイイ」と言わなければならないこともある。そういう既成の、現在の“よくある雑誌”のつくり方から外れたモノづくりをしたい、と思っていたんです。例えばヨガのクラスでお友達に「このウェアすごくいいのよ」って薦めるような身近さ、距離感で読めるような正直な雑誌を。

 ゆくゆくは『マーマー』でも、花森安治さんがいた頃の『暮しの手帖』のように、実験をしたいんですよ。当初は私一人でやっていたので、自分が実験台となり、自分の感覚でいいと思ったら紹介する、というスタンスが精一杯でした。『マーマー』でもマーマーガールズ座談会というのがありますが、そこでは皆が試してみた商品の意見を正直に載せています。とにかく「嘘をつかない」というのがうちのウリというか。そんな風に続けているんですが…。

──弊社代表の弓田も、自社の講習会には一切材料メーカーなどの協賛を受けないんです。それは自分の信念や真実を曲げたくないという意志があってのことなのですが。そういう弓田のスタンスと、服部さんの「嘘をつかない」雑誌づくりは、どこか共通しているような気がします。ちなみにイル・プルーのことはご存知でしたか?

服部 弓田さんのお菓子のことは知っていて、いつか食べてみたいなとは思っていたんです。ただ申し訳ないけれど、お料理のことは存じ上げなくて。それでおせち料理を食べた時に、感動したんですよね。

──その時食べたおせちの印象をまず伺いたいのですが。

服部 はい。おせちの試食会の時は、本も読まず、何の前情報もなく食べに行ったんですが、一番感じたのは、祖母の料理にとても似ていたということです。祖母は岐阜でお産婆さんをやっていて、身体や食についてとても詳しかったんです。野菜からお茶から、何でも自分で作っていて、飼っている羊の毛でセーターまで編んじゃうような、今で言う「自給自足の暮らしをしている憧れのお婆ちゃん」みたいな人でした。その祖母の料理に、ルネサンスごはんが似ていたことが、凄く衝撃的だったんです。

 今、祖母の料理は食べられないんですよ。すでに祖母は亡くなっていますし。あの時の水、あの時の出汁、あの時祖母が作っていた野菜ももうないから。

 私が小学生くらいの頃(昭和50年代)、祖母の家で朝、採れたてのキュウリを食べたりしました。弓田さんが仰るように、本当~~に、おいしかったのね。その味わいが、今とはまったく違うものだったことを、弓田さんのおせち料理を食べて思い出したんです。それは私にとって、今までにない体験でした。弓田さんが「今の野菜からは栄養素がなくなっている」と言っているのを聞いて、「ああ、そうか」って。

──服部さん自身、取材等を通じて、いろいろな「食」を見てきたと思いますが、ルネサンスごはんが他と違うな、と思うのはどんな点でしょう?

服部 そうですね。私が弓田さんの料理が優れていると思う理由は、「オーガニック(有機)」にこだわっていない点なんです。スーパーに売っている普通のものでいいよっていうのが、本当に愛情が深いなって思うんですよね。何故ならオーガニックのものはまだ高いものもあって誰でも買えるというわけではありません。もちろん、私自身、農薬を使わずに野菜を作れるならその方がいいとは思っていますのでオーガニックを応援する立場は変わりません。ただ…。

──野菜に関しては、鮮度とかも大切ですよね。

服部 そう。やっぱり、元気のないオーガニックの野菜っていうのも、実際あるんです。まだまだ私達は頭で考えていて、身体で考えるということが出来ていないように思います。私は、弓田さんが「もっと自分の感覚を目覚めさせなさい」と仰っているのが分かったし、そういう目線を持ちなさいと言っているのがとてもいいなって思ったんです。それに実際にルネサンスごはんはおいしかったですし(笑)。そして逆に、何で今まで誰もこのことを言ってこなかったんだろうとも思ったんですよね。


その2へ・・・

【その2】私にとって、弓田さんは愛情ある昭和の頑固爺。表面のことばではなく、弓田さんの愛を受け取ってほしいです。
【その3】実家の父が、「おいしい」って食べてくれたことに感動。ひじきご飯が、私のルネサンスごはんのスタートです。
【その4】弓田さんの「おいしさ」の基準が知りたいな、と思う時があります。素材を食べ比べるような、「弓田さんの舌をかいまみる会」があったらいいですね。





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