良い素材を選ぶということ
地方講演などで、「日本の食材から栄養素がなくなっている」と言うと、多くの方が「どうせ東京の話でしょう」と思われるようです。しかし、実際に土地の皆さんと一緒に地元の野菜を食べてみると、少なからず東京のスーパーのものよりも、何の味わいもしないものもあります。「有機農法だから」「無農薬だから」ということではなく、自分の舌で一つ一つ確かめて、判断する習慣をつけていくしかありません。ぜひその都度注意しながら食べて、自分の考えで選んでみてください。
1. 良い素材には必ず豊かなニオイがある
「良い素材を選ぶ」とは「幅の広い栄養素豊かな素材を選ぶ」ということです。栄養素たっぷりの食材には、必ず豊かなしっかりとしたニオイと、個性的な膨らみのある味があります。最近はどこの店でも葉の色も薄く元気のない、促成栽培の野菜が当たり前ですが、根気よくニオイのする食材を探してみてください。
2. まずちょっと生で食べてみる
人参でも大根でも、まず生で食べてみてください。まずちょっと一切れ生で食べてみます。十分にニオイやしっかりした味わいがあれば、大体料理はおいしくなります。そして素材を判断する舌の力もついてきます。しっかりと意識を持って改めて今の野菜を食べてみると、私ほどの年配の方なら今の小松菜、大根、白菜の、水のような味わいに改めて驚かれます。
3. 調味料を選ぶ基準は、皆の嬉しい声が上がるもの
味噌や醤油などの調味料も、「豊かなニオイがあるかどうか」が、まず最初の選ぶ基準です。そしてなめてみます。しっかりした香りとしっかりした味わいがあれば、とりあえずそれを選び料理を作ります。家族が「わぁ、おいしい」と声を上げるようなら、その味噌や醤油は確かにおいしいのです。何度作っても皆の嬉しい声が聞けなかったら、他のものを探して使ってみます。「わぁ、おいしい」という家族の声だけが真実なのです。
4. 冷凍してあるものは買わない、使わない
大きなスーパーはもとより小売店でも、海辺の町でもない限り、冷凍していないものを見つけることは困難になりつつあります。しかし何とか冷凍してないものを探すぞ、という気概を持ち続けて下さい。干物や塩漬けのものでも冷凍されている場合がほとんどです。日頃の注意も必要です。そして冷凍、解凍が繰り返され、無責任にも味わいと栄養素が著しく失われた魚を手にした時にはためらわずに店にそれを伝え、他の店を探すべきです。