ブックタイトル教室カタログ2014

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概要

教室カタログ2014

ecole de il pleut sur la seine | 0 3私は最初の授業の時に必ず、新しい生徒さんに向かって言うことがあります。私達はフランスで作られているものと同じ形状をしているから、あるいはフランス産の素材を使っているからと言ってフランス菓子と認めることは出来ません。今、日本人は間違った味覚の感覚に陥っています。香りも味も歯触りなども、薄く弱々しいものがおいしいと考えています。本当のフランス的な味わいとは、香り、食感、味がしっかりと主張を持って重なり合い、混沌とした多重性のある、食べる人の五感に語りかける味わいなのです。多くの人が感動するイル・プルー・シュル・ラ・セーヌのお菓子は、このような味の組み立てなのです。日本とフランスの素材の間には、あまりにも大きな味覚と物理的科学的性質の違いがあります。この日本で、フランスでのレシピと技術で作っても同じ味わいのものは出来ません。2 つの国の素材の違いを十分に理解して、それを調整する努力が必要なのです。私はこの違いを克服するのに初めての渡仏から15 年もの期間を要しました。拙著『パティスリー・フランセーズそのイマジナスィオンⅠ』は、正に一冊の本でこの違いを論じたものです。しかし私以外のパティスィエは、最も大変なフランスと日本の素材の違いに挑もうとはせず、逃げて形式だけのフランス菓子を作ります。だから殆どの店のお菓子はおいしくないのです。また、フランス菓子だからといって、この日本でも日本人よりフランス人の方がおいしいお菓子を作れるとは思わないでください。彼らは日本の素材を使った期間が短いので、日本とフランスの素材の違いを十分に理解する事は出来ません。彼らはフランスでのレシピで単純に機械的にフランス菓子を作るしか道はないのです。その結果は既に述べました。私達の店は、日本に滞在されているフランス人の方に、「この日本ではどこよりもおいしく、そしてフランスよりもおいしい」と言って頂いたことも一度や二度ではありません。そして私が修業したフランス・パリ「パティスリー・「皆さんの選択は、これ以上のものはない最良のものでした」と。教室に通い始めて1 ヵ月も経つと、皆さんが本当においしいと思っていた有名シェフのお菓子が全くまずく感じられてきます。そしてイル・プルー・シュル・ラ・セーヌのお菓子が他の店のものとは全く次元の違うものであり、そんなお菓子を自分が作っていることに驚くことでしょう。もちろん、イル・プルー・シュル・ラ・セーヌの教室のお菓子をほとんど食べたことのない生徒さんは、「このオジサンは調子のいいことを言って、ホントかな?」という表情をされます。しかし卒業される時、本当に多くの生徒さんが、「最初は信じられませんでしたけど、やっぱりもう他のお菓子は食べられなくなってしまいました」と打ち明けられます。そして「本当に驚きと感動の連続の授業でした」「子供や主人も他の店のお菓子はもう食べなくなってしまいました」と、想像だにしない賞賛を数多く頂いています。イル・プルー・シュル・ラ・セーヌのお菓子教室に通い始めると、お菓子のみならず食べ物に対する味覚、考えが全く変わってしまいます。ミエ」のオーナー・シェフで、フランスの正統的な伝統に培われてきた最後の巨人であるドゥニ・リュッフェル氏に「亨が作るお菓子のおいしさには、多くのパティスィエが嫉妬して当たり前だ」と言わしめた、それが“ イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ” のお菓子なのです。